登山記録・写真  
    二百名山 

北海道 104.  カムイエクウチクカウシ山    1,979 m  2006年 (平成18年) 8月26日(土)    単独

    104. カムイエクウチクカウシ山    

カムイエクウチクカウシ山(かむいえくうちかうしやま)
 ・ 日高山脈のほぼ中央に位置する日高第二の高峰。標高1,979mの山で、カールには万年雪に近い雪渓がある。  
 ・ 風格のある日高を代表する山。
 ・ 北側から望むとピラミダルな山容をもつ、日高山脈の第二の高峰で、その懐に多くのカールを持つ日高山脈の名峰。
 ・ 「カムエク」の略称で親しまれる、カムイエクウチカウシ山はアイヌ語で(熊が転げ落ちることがよくあるほどの急峻な山)。
 ・ カムイエクウチカウシという独特の響きは、これまでも多くの岳人の心をとらえ、カムエクの名で親しまれている。
 ・ 太古の自然を感じさせる日高の名峰。
 ・ 毎年のように事故が発生する険しい山であるにもかかわらず、毎年多くの登山者が訪れる人気のある山。
 ・ 日高山脈の中央部に位置し、標高こそ幌尻岳に譲るものの、重厚感に溢れる名峰。
 ・ 通常、札内川本流から八ノ沢経由で登られる。札内川の徒渉は、増水しやすく、水の引きも遅いため、天候に注意する必要がある。
 ・ 山頂直下には美しいカールがあるが、熊の住みかでもある。1970年には学生3人が犠牲になっている。
 ・ 1970年に起きたヒグマによる惨劇:福岡大学ワンダーフォーゲル部の学生5名がクマに襲撃され、三人が殺された事件。 
     詳細 ⇒ ⇒   : 福岡大学ワンダーフォーゲル同好会羆襲撃事件 - Book Wiki Portal - Seesaa Wiki(ウィキ) 
 ・ 昭和40年3月日高山脈縦走中の北大生6人パーティが雪崩に遭遇し全員遭難死した。
 ・ 登山口を通る工事中止の道路がある。〜 日高山脈を越え十勝と日高を結ぶ予定で工事されていたが計画が取りやめとなった道で七ノ沢出合の先まで伸びている。
    ・・・ 03年に建設凍結に追い込まれた「日高横断道路」。 十勝平野の中札内村から日高支庁の旧静内町(現在は新ひだか町)まで、北海道の背骨にあたる日高山脈を貫こうと、84年に着工。自然保護団体が猛烈な反対署名運動を展開。 道は「優先度が低下した」として、断念した。約100キロに及ぶ計画は約50キロが未完成、工事をやりかけた道路もそのまま残された。
 ・ 日高山脈山岳センターから舗装道路の終点にゲートがある。
 ・ 七の沢出合からは沢を歩くことになるので、渓流シューズまたはわらじに履き替える必要がある。
 ・ 三股には7月末頃まで雪渓が残っている。
 ・ カールから約1時間半でカムエク頂上に。晴れていれば絶景を楽しめる。
 ・ カールからカムエク頂上まではハイマツと岩場を歩くのが中心となる。
 ・ 山頂からは、360度のパノラマが楽しめ、ピラミッド峰やエサオマントッタベツ岳、遠くには札内岳や日高幌尻岳も望むことができる。
 ・ カムエクは北緯42.6度、東経142.7度。  数字を足すと185.3になって、ピラミッド峰の1853mと同じ数列。
 ・ 整備された登山道はなく、途中、長い沢を渡渉しなければならない。
 ・ 中札内村から札内川沿いに建設が中断された北海道道111号静内中札内線の未舗装区間6kmを遡り、終点の札内川・七ノ沢から八ノ沢を川上に向かって渡渉し、八ノ沢カールを登って稜線に出て山頂に至る。 ・ 北海道の日高山脈は、南北150キロの山並みが続く、日本有数の山岳地帯です。そのなかで、随一の険しさを見せるのがカムイエクウチカウシ山。
 ・ 日本では日高山脈と日本アルプスにでしか見られない氷河地形「カール」があり、ナキウサギやヒグマの暮らす場所となっている。

 《登山のコース》
 ・ 八ノ沢ルート、一つのみ ・・・ 幌内ヒュッテ先ゲート 〜 八ノ沢出会(テント泊) 〜 カール下 〜 カムエク山頂 ピストン。
⇒⇒ ・ 幌内ヒュッテ先ゲートから出発。
    ・ 6.5kmの林道を歩き、七ノ沢出合の工事用飯場跡から札内川に入り、札内川本流の川原をケルンなどを拾いながら遡行する。(増水時は中止)
    ・ 八ノ沢出会のキャンプ場から、八ノ沢に入り、1,000m三俣から、急登の連続、川原を詰めたり、草付の脇道・ガレたルンゼや岩登りが続く。
    ・ カール底でヒグマの有無を確認し、ピラミッド峰との鞍部を目指し、ハイマツと岩場の稜線を進むとカムエクに到着。 帰路は忠実に戻る。

【山名の由来】
 * カムイエクウチカウシ山 = アイヌ語で “熊が転げ落ちることがよくあるほどの急峻な山”。
 * カムイ・エクチカ・ウシ・イ  ⇒⇒⇒ 熊が・岩崖を踏み外して下へ落ちる・よくする・所。
 * 語源はアイヌ語の『神(熊)が滑り落ちる、転げ落ちる』。
 * カムイエクウチカウシの名が、カムイユックチカウシのなまったものだとすると、「神が転げ落ちた」のではなく「『神の』鹿を転げ落ちさせる場所」という解釈も出来る。
         (〜フリー事典、ヤマレコ、ヤマケイ等より)

* 参考HP
 ・ カムイエクウチカウシ山 - Wikipedia
 ・ カムイエクウチカウシ山 の登山、地図、天気
 ・ 北海道 高原・山の天気 - てんきとくらす [天気と生活情報] 
* 北海道森林管理局-登山情報 
* 北海道地区 道路情報  


行程  2006(平成18年) 8月26日(土)  往複路: 航空機 航空機:⇒⇒、レンタカー: ≫  徒歩: →
A  帯広市内 H  2:50 ≫ 3:50 札内ゲートP 4:10  → 5:30 七の沢出合 →  7:20 八の沢出合  → 9:20 1000m三叉  → 八の沢カール 11:00   →  稜線分岐 11:30  → 12:10 カムイエクウチカウシ山 山頂 12:30 → 13:50 三叉  → 15:50 八の沢出合 → 18:00 七の沢出合 → 19:20 札内ゲートP ≫ 22:00 浦河市内 H泊

【 コメント  】
 * 100名山・200名山全体で、最も困難性の高い山の筆頭は「笈ヶ岳」と、カムイエクだと思います。
   ペテガリ岳と鋸岳が次点、毛勝岳(夏道)や大無間山、剣岳はワンランク容易に感じました。
   ※ ペテガリ岳への登山口である“ペテガリ山荘”へは、静内からの立派な林道がありますが、道路崩壊等により閉鎖状態です。2007年度より神威山荘へ至る林道も神威橋付近で閉鎖され、神威山荘・ペテガリ山荘への連絡路入り口まで、約13kmの徒歩が追加になったそうで、困難度No.3以内です。
 * 2,008年(平成20年)11月18日に百名山、平成21年5月28日に二百名山を完登しました。その結果、カムイエクの日帰り山行が最もきつかったです。
 * 「笈ヶ岳」の日帰り山行は、さほどきつくありませんが、藪こぎと残雪上の歩行があり、単独ではルート確認に神経を使います。また残雪の関係でコンディションの最適期間がGWの10日間程度の好天時に限られます。
 * 二番目にきつかったのは、馬場島からの剱岳への早月尾根コース日帰り山行、3番目が、甲斐駒ケ岳への黒戸尾根コース日帰り山行でした。 
 ・ 今回のカムイエクは“日帰り登頂”、15時間10分の登山。我登山歴の中で最長記録でした。

 ・ 前日、羽田から帯広空港に到着後、レンタカーにて花の百名山の“アポイ岳”に登り、襟裳岬の夕焼けを写真に撮り、帯広市内のホテルに宿泊。
 ・ 早朝2時に起床、1時間で札内トンネル出口先のゲート前に到着。数台駐車中。
 ・ 真っ暗なほぼ平坦な幅広い林道を、ヘッドランプの明かりを頼りに進む。
 ・ すっかり明るくなった5時半に七の沢出合に到着、登山靴から沢靴に履き替える。
 ・ 七沢を飛び越え、その先の水深約20cm位の20m幅の箇所を渡る。思ったほど冷たくなく安心。
 ・ 数日間降水なかったので、水量が少なくて一安心。水流が早いので雨天では危険、降水が止めば直ぐに水位が下がるようです。
 ・ 本流右岸の川原や中洲のテープや足跡を目印に順調に進む。
 ・ 途中河原から河床林へ入りササがかなり密集した道を進む。
 ・ 原則的に、地図とコンパスを頼りに本流に沿って歩きやすいコースを選んで進めばよい。
 ・ 2時間弱でテントが張られた八の沢に到着。
 ・ 1000mの三叉で登山靴に履き替える。左岸のテープに従って順調に進む。
 ・ 左岸上部に雪渓が現れるが、雪渓には上がらずそのまま進む。
 ・ 三叉直前に大雪渓が現われ、登山道が大トンネルの中以外にはないので、大きい方のトンネルを進む。
 ・ トンネルを出たところで、右上にある登山道に這い登る。
 ・ しばらく登ると水流がなくなり、やがて八の沢カールに到着。熊に襲われた旨の金色の慰霊板に冥福する。
 ・ 広々としたカールで休憩。エゾツツジが鮮やかに咲いていました。テント一張。渓流靴を乾かしてる人もいました。
 ・ 稜線への登山道の数箇所に真新しい熊が掘り起こした跡や糞があり、思わず笛を吹き続けました。
 ・ 急登後、稜線分岐に到着。眼下に広がる今登頂してきたコースが手に取るように見れました。雪渓が真っ白に輝いていた。
 ・ やがて山頂に到着。山頂付近だけはガスがかかり、残念ながら大展望はお預け。
 ・ 山頂には残念ながら標識がなかった。
 ・ 下山開始、あっという間にカール下、テント設営者がいた。熊が出そうな場所で勇気のある人と感心する。
 ・ 往路を慎重に下る。雪渓トンネル上部に到着したが、登山道がそのまま雪渓方面に続いていたのでののまま進む。
 ・ 雪渓終端部の前で左岸側山側へ上がってから元の下側の登山道に合流した。
 ・ 八の沢までは、テープを頼りに進む。往路に付けた目印が解らなくなり、本流に沿って川原や河床林を進む。
 ・ 河床林歩きに飽き川原に出ると、ようやく八の沢のテントが数張見え、煙が立ち昇っているのを確認。
 ・ 小休憩後、出発。ほぼ往路のとおりに戻る。
 ・ 七の沢出合に明るいうちに到着。登山靴に履き替え、1時間強でゲートに到着。
 ・ 一休憩後、236号線(天馬街道:走りやすい)で浦河のホテルまで一気に走る。

 《 危険箇所 》
  * 増水時の渡渉。今回は水位が低く、約20cm以内の場所を渡渉。
     〜 渡渉用に、ダブルストックがあったほうが安心。
  * 三叉直前の雪渓トンネル内部歩行時、崩落に注意。雪渓トンネルより右側上方の登山道に出る数mは急斜面、注意。
     下山時もここから降りてトンネル通過が楽。下山時、雪渓上流側の雪渓を歩行する場合、横断箇所注意。
  * 三叉〜カール間の滝 : 左岸側のテープに従って進み、危険は感じませんでした。
  * 八の沢カール上部は熊の気配濃厚。
     八ノ沢カールでは人馴れしたクマが出没するという情報がある。
 ・ 前日雨天の場合は、水量が多く渡渉に注意。事前に日高山脈山岳センター:0155-69-4378に問い合わせのこと。
 ・ 全行程登山者 : 10人グループ:1、 複数人:約10人、単独:約5人。

1.七の沢出合(左端から入り、中央部へ) 2.七の沢出合 ⇒ 八の沢出合 3.八の沢出合 ⇒ 三叉よりカムエク山
4.八の沢出合  ⇒ 三叉よりカムエク山 5.八の沢上流 6.三叉直前の雪渓
7.三叉直前の雪渓 8. 雪渓トンネル内部を歩く  9.雪渓トンネル内部出口よりカムエク山
10. 雪渓トンネル出口より八の沢方向 11. 三叉の滝 12.三叉上流の滝
13.滝の左岸を登る 14.滝と(コガネギク) 15.滝とオオバセンリョウ
16.八の沢カール17.稜線分岐先より八の沢カール。18.稜線分岐先より八の沢カール:写真上部:雪渓トンネル、中央部:テント場
19.熊が掘り起こした跡 20.カムイエクウチカウシ山 山頂 21.イワギキョウ
22.ハクサンイチゲ 23.エゾツツジ 24.エゾツツジ